「リフォームで給湯器を新しくしたんだけど、古いやつはそのまま業者に引き取ってもらったよ」
……ちょっと待て。
お前さん、それ、いくらで引き取ってもらった? まさか「処分費用を払って」引き取ってもらったなんて言わないだろうな?
「現代モノ価値研究所」所長の珍田だ。元リサイクルショップ「珍宝堂」の店主で、これまで法人の破産管財品からネジ一本まで、ありとあらゆるモノの価値を見極めてきた人間だ。
今回のテーマは、リフォームや交換で出てくる「中古の住宅設備」。給湯器、ウォシュレット、エアコン、システムキッチン——こういった設備は、多くの人が「交換したら用済み」と思い込んでいる。だが、俺に言わせればとんでもない話だ。この記事を読めば、住宅設備の中古市場がいかに活発か、そしてあなたの家のあの設備にいくらの値段がつく可能性があるのかが分かる。
捨てる前に5分だけ、この記事に付き合ってくれ。
目次
なぜ今、中古の住宅設備が売れるのか
「使い古した給湯器なんか、誰が買うんだ?」——そう思った人、正直に手を挙げろ。その感覚は、まあ、一般人としては普通だ。だが、中古住宅設備の世界は今、ちょっとした「ゴールドラッシュ」の様相を呈している。
リフォーム需要の増加と「中古でいい」という賢い選択
日本では年間約30万件以上のリフォーム工事が行われています。新築住宅の着工件数が減少傾向にある一方で、既存住宅のリフォーム市場は拡大を続けています。
ここで重要なのは、「リフォームで外した設備」が出る一方で、「中古でもいいから安く設備を手に入れたい」という需要も同時に存在するということです。たとえば新品の給湯器は本体だけで10万円〜20万円以上、工事費を含めると30万円を超えることも珍しくありません。「とりあえず動く給湯器が欲しい」という賃貸オーナーや、急な故障で応急的に設備を調達したいという人にとって、中古品は非常にありがたい存在なのです。
海外市場での日本製住宅設備の人気
これは意外と知られていない話ですが、日本の給湯器やウォシュレットは海外でも引き合いがあります。特に東南アジアや中東地域では、日本製の住宅設備は「品質が高い」として人気が根強い。国内の買取業者の中には海外への販路を持っているところがあり、国内市場では値段がつきにくい古めの機種でも、海外向けであれば買い取れるケースがあるのです。
非鉄金属の高騰——壊れていても値段がつく理由
「もう完全に壊れてるから無理だろ」と諦めるのはまだ早い。給湯器の内部には、熱交換器を中心に銅やアルミ、ステンレスといった非鉄金属がたっぷり使われています。2025年現在、非鉄金属の市場は高騰傾向が続いており、スクラップとしての価値だけでも買取対象になるケースが増えています。
特にガス給湯器の熱交換器には高純度の銅が使われており、解体して金属ごとに分別すれば、思った以上の金額になることもあります。俺の研究所にも、「壊れた給湯器を100台まとめて買い取ってほしい」なんて問い合わせが来たことがあるくらいだ。
意外と高く売れる住宅設備ランキング
さて、ここからが本題だ。「実際に何がいくらで売れるのか」、具体的に見ていこう。
給湯器——リンナイ・ノーリツのエコジョーズは「鉄板」
住宅設備の中古買取で、最も市場が成熟しているのが給湯器です。特にリンナイとノーリツは国内シェアの大部分を占めており、中古市場でも安定した需要があります。
買取価格の目安はこんな感じです。
- 新品未使用品(エコジョーズ・24号タイプ):20,000円〜48,000円
- 中古品(使用5年以内・動作品):5,000円〜30,000円
- 中古品(使用5年超・動作品):1,000円〜10,000円
- 故障品(スクラップ価値):数百円〜数千円(重量による)
ここでのポイントは、リモコンの有無です。給湯器本体だけでなく、リモコンがセットになっていると買取価格が大きく上がります。リフォーム業者が交換時にリモコンを一緒に外してくれることが多いですが、「いらないから捨てていいよ」と言ってしまう人が実に多い。これは本当にもったいない。
また、石油給湯器は意外な穴場です。給湯器買取専門店のファーストハンズによれば、中古の石油給湯器は現在不足傾向にあり、製造から10年近く経った製品でも故障していなければ買取対象になるとのことです。
ウォシュレット(温水洗浄便座)——新品未使用なら驚きの価格に
「え、便座が売れるの?」と思ったでしょう。売れます。それも、なかなかの金額で。
日本の温水洗浄便座の普及率は約70%。ほとんどの家庭に1台はあるこの設備ですが、買い替えや引っ越しで不要になることは珍しくありません。
ただし、ウォシュレットの買取には少し注意が必要です。
- 新品未使用・未開封品:高価買取の対象(TOTO上位モデルなら50,000円以上も)
- 新品未使用・開封済み(付属品完備):それなりの価格がつく
- 中古品(使用済み):買取不可の業者が多い
衛生品であるウォシュレットは、「新品のみ買取」としている業者が圧倒的に多いのが実情です。しかし、ファーストハンズや高く売れるドットコムなど、一部の業者では中古品の買取も行っています。中古品の場合、製造から5〜7年以内で、清掃済み・動作確認済みであることが条件になることが多いです。
なお、「ウォシュレット」はTOTOの登録商標で、正式な総称は「温水洗浄便座」です。LIXILでは「シャワートイレ」、パナソニックでは「ビューティ・トワレ」という名称で販売されています。
エアコン——製造5年以内なら積極買取
エアコンは家電リサイクル法の対象品目であり、処分するには通常リサイクル料金がかかります。だからこそ、「売れるなら売りたい」という人が多い設備でもあります。
- 製造5年以内・動作品:6,000円〜39,000円(メーカー・畳数による)
- 製造5〜10年・動作品:1,000円〜10,000円
- 業務用エアコン:13,000円〜80,000円
ダイキン、パナソニック、三菱電機あたりは中古市場でも人気が高く、比較的高値がつきやすいです。なお、環境省もまだ使えるエアコンについてはリサイクルよりもリユース(中古品としての売却)を推奨しています。
まだまだある!その他の住宅設備
給湯器やウォシュレット以外にも、実は売れる住宅設備はたくさんあります。
- システムキッチン(レンジフード・食洗機付き):買取実績60,000円〜
- 洗面化粧台:買取実績12,000円〜
- タンクレストイレ:買取実績32,000円〜
- エコキュート:買取実績23,000円〜
- IHクッキングヒーター・ガスコンロ:個別パーツでも需要あり
- レンジフード・換気扇:新品・中古ともに買取対象
- 浴室暖房乾燥機:状態が良ければ買取可能
展示場やモデルルームで使用されていた住宅設備は、ほとんど汚れがない状態のため、特に高額での買取が期待できます。住宅展示場の取り壊しに携わる業者さんには、「捨てる前に査定に出してくれ」と声を大にして言いたい。
住宅設備の買取相場一覧
主な住宅設備の買取相場を表にまとめました。あくまで目安ですが、「自分の家にあるモノがいくらになるか」のイメージをつかむ参考にしてください。
| 住宅設備 | 新品未使用の買取相場 | 中古品の買取相場 | 備考 |
|---|---|---|---|
| ガス給湯器(エコジョーズ) | 20,000〜48,000円 | 5,000〜30,000円 | リモコン付きが高値 |
| 石油給湯器 | 15,000〜35,000円 | 3,000〜20,000円 | 現在品薄で需要増 |
| ウォシュレット(TOTO上位) | 30,000〜65,000円 | 3,000〜15,000円 | 中古は買取不可の業者も |
| エアコン(家庭用) | 10,000〜40,000円 | 1,000〜39,000円 | 製造5年以内が有利 |
| システムキッチン | 要見積もり | 30,000〜100,000円以上 | 取り外し対応業者に依頼 |
| 洗面化粧台 | 10,000〜30,000円 | 5,000〜15,000円 | メーカー・状態による |
| タンクレストイレ | 30,000〜80,000円 | 10,000〜35,000円 | TOTO・LIXILが人気 |
| エコキュート | 20,000〜50,000円 | 10,000〜25,000円 | 搬出の手間がネック |
| IHクッキングヒーター | 5,000〜25,000円 | 2,000〜10,000円 | ビルトイン型が主流 |
※買取価格はメーカー、型番、年式、状態、地域、時期によって大きく変動します。必ず複数業者に見積もりを取ることをおすすめします。
「捨てる」と「売る」でこんなに違う——処分費用と買取金額の比較
ここで、「処分した場合」と「売却した場合」の差額をシミュレーションしてみましょう。給湯器を例に取ります。
ケース:築15年の戸建て住宅で、ガス給湯器(リンナイ・エコジョーズ・使用8年)をリフォームで交換する場合
処分する場合にかかる費用の目安はこうなります。
- ガス会社による取り外し・回収費用:10,000〜15,000円
- もしくは不用品回収業者に依頼:5,000〜20,000円
一方、買取に出した場合の見込みはこうです。
- 動作品・リモコン付き・清掃済みの場合:3,000〜10,000円の買取
つまり、「処分にお金を払う」のと「売ってお金をもらう」のとでは、最大で25,000円以上の差が生まれる可能性があるということです。しかもこれは給湯器1台の話。リフォームでエアコンやウォシュレットもまとめて交換するなら、その差額はさらに大きくなります。
粗大ゴミとして出せる自治体もありますが(名古屋市や横浜市など一部自治体で500円〜1,000円程度)、多くの自治体では給湯器の粗大ゴミ回収に対応していません。業者に取り外しを依頼した時点で「産業廃棄物」扱いとなり、自治体のゴミ回収に出せなくなるケースがほとんどです。
だったら売った方がいい。これは単純な算数の問題だ。
住宅設備を高く売るための7つの鉄則
「よし、売ろう」と決めたなら、次はなるべく高く売るためのコツを押さえておきたい。俺が長年の経験から導き出した7つの鉄則を伝授する。
鉄則1:型番と製造年を必ず確認する
これは最も基本的なことであり、最も重要なことです。買取業者が最初に聞いてくるのは「型番」と「製造年」。この2つの情報がないと、正確な査定ができません。
給湯器の場合、本体に貼ってある銘板シールに型番・製造年月が記載されています。ウォシュレットは本体の側面や背面、エアコンは室内機の下部などに記載があります。リフォーム業者が取り外す前に、スマホで写真を撮っておくのがベストです。
鉄則2:リモコンや付属品はセットで売る
給湯器のリモコン、エアコンのリモコン、ウォシュレットの取付金具や分岐水栓、取扱説明書——これらの付属品の有無で、買取価格は大きく変わります。
特に給湯器のリモコンは要注意。リモコンなしだと買取価格が半額以下になることもあります。リフォームの際は、業者に「古い設備の付属品もすべて残してください」と事前にお願いしておきましょう。
鉄則3:動作確認をしておく
中古品として売る以上、「ちゃんと動く」ことの確認は不可欠です。取り外す前に正常に動作していたかどうかは、買取価格に直結します。
動作しない場合でもスクラップとしての価値はありますが、金額は大幅に下がります。「最後に使ったのはいつだったっけ?」という状態のものは、取り外す前に一度動作確認をしておきましょう。
鉄則4:清掃して見た目を整える
これは中古品全般に言えることですが、見た目の印象は査定額に影響します。特に給湯器の外装の汚れ、ウォシュレットの裏側の汚れなど、普段あまり掃除しない部分は意外と汚れが溜まっているものです。
査定前に軽く清掃しておくだけで、業者側の整備コストが下がり、その分を買取価格に上乗せしてもらえることがあります。
鉄則5:複数業者に見積もりを取る
同じ給湯器でも、業者によって査定基準はバラバラです。再販ルートを持っている業者は高く買い取れるし、在庫状況によっても金額は変動します。
面倒でも、最低2〜3社には見積もりを依頼しましょう。「おいくら」のような一括査定サービスを使えば、手間を省きつつ複数業者の見積もりを比較できます。
鉄則6:売却のタイミングを逃さない
住宅設備は、年式が新しいほど高く売れます。「いつか売ろう」と思って倉庫に放置しておくと、その間にも設備の価値は下がり続けます。
リフォームで交換することが決まったら、取り外したその日のうちに査定に出すくらいの勢いが理想です。特に給湯器は、放置期間が長いと内部の腐食が進んで買取不可になることもあります。
鉄則7:取り外しは必ず専門業者に依頼する
これは「高く売るコツ」というより「絶対に守ってほしいルール」です。給湯器はガス管や水道管、電気配線が接続されており、素人が取り外すとガス漏れや水漏れ、最悪の場合は爆発事故につながる危険があります。
ガス給湯器はガス会社に、電気給湯器は電気事業者に、エアコンは専門業者に——必ず有資格者に取り外しを依頼してください。取り外し費用をケチったせいで、設備を破損して買取不可になったら本末転倒です。
住宅設備の売却方法——どこに・どうやって売るか
「売る」と決めたら、次は「どこに売るか」です。主な選択肢は3つあります。
買取専門業者に依頼する
最もおすすめなのが、住宅設備の買取に特化した専門業者への依頼です。
- 給湯器専門:ファーストハンズ、売買コムズなど
- 住宅設備全般:ツールオフ、ツールアップ、高く売れるドットコムなど
- 建材・住宅設備:エルライン住設、圓屋など
専門業者のメリットは、適正な相場で査定してもらえること、出張買取や宅配買取に対応していること、そして住宅設備の取り扱いに慣れているため、スムーズに取引が進むことです。
中でも俺が注目しているのが、建材・住宅設備の買取専門店レコテックです。ウォシュレットや給湯器はもちろん、食洗機、コンロ、水栓金具、照明器具、さらにはブレーカーや分電盤といった電材まで幅広く買い取っており、買取価格を商品ごとに公開しているのが特徴です。
事前査定からの減額なし、全国送料無料の宅配買取、最短即日振込——と、「売る側のストレス」をとことん排除した仕組みになっています。LINE査定にも対応しているので、「これ、値段つくのかな?」と思ったらスマホで写真を撮って送るだけ。査定のハードルが低いのは、初めて住宅設備を売る人にとって非常にありがたいポイントです。
高く売れるドットコムでは、給湯器を含む住宅設備の買取について、メーカー別の相場情報なども公開しているので、事前の情報収集に役立ちます。
フリマアプリ・オークションで個人売買する
メルカリやヤフオク!を使って個人で売却する方法もあります。買取業者では値段がつかなかった古い機種でも、フリマアプリなら買い手がつくことがあるのがメリットです。
ただし注意点もあります。
- 給湯器はサイズが大きく重量もあるため、送料が高額になりやすい
- 動作保証やクレーム対応を自分で行う必要がある
- 梱包の手間がかかる
- 売れるまでに時間がかかることがある
個人売買は手間とリスクを許容できる人向けの選択肢と言えるでしょう。
スクラップ業者に持ち込む
完全に故障している給湯器でも、スクラップとして売却できる場合があります。給湯器の内部には銅やアルミなどの有価金属が含まれており、特に銅製の熱交換器(赤釜・白釜と呼ばれる)は高値で取引されています。
スクラップとしての買取価格は重量単位で決まります。未解体のまま持ち込む場合は1台あたり数百円〜数千円程度ですが、自分で解体して銅やステンレスを分別すれば、より高い単価で売却できます。ただし、解体には手間がかかるため、労力に見合うかどうかは慎重に判断してください。
注意!売れない・買取できないケースとは
「なんでも売れる」と期待しすぎるのも禁物です。買取できないケースもきちんと把握しておきましょう。
製造から10年以上で故障しているもの
中古品としての買取は、一般的に製造5年以内が目安です。製造10年を超えた故障品は、中古品としての価値はほぼゼロと考えてください。ただし、前述の通りスクラップとしての価値はある場合があります。
取り外し方によっては価値が下がる
取り外しの際に電源コードが切断されたり、配管の接続部が破損したりすると、動作品であっても買取価格が下がります。また、長期間屋外に放置されて錆びや腐食が進んだものも減額対象です。
衛生品の中古は買取対象外の業者が多い
ウォシュレットやトイレ本体など、直接肌に触れる衛生品は、「新品・未使用品のみ買取」としている業者が大半です。中古品を売りたい場合は、中古の衛生品にも対応している専門業者を探す必要があります。
まとめ
リフォームや設備交換で出てくる中古の住宅設備は、「ゴミ」ではない。それは、次の持ち主を待っている「お宝」だ。
この記事のポイントを振り返ります。
- 中古住宅設備の市場は活発で、給湯器・ウォシュレット・エアコンなど幅広い設備に買取需要がある
- 給湯器は中古でも5,000円〜30,000円、新品未使用なら48,000円以上の買取実績がある
- 処分にお金を払う代わりに売却すれば、1台あたり数万円の差額が生まれることも
- 型番確認、付属品の保管、複数業者への見積もりが高価買取のカギ
- 取り外しは必ず専門業者に依頼し、安全を最優先に
- 壊れていてもスクラップとしての価値がある場合がある
次にリフォームをするとき、あるいは家の片付けをするとき、まずは「これ、売れるかも?」と考える癖をつけてほしい。その5分間の手間が、あなたの財布を守り、資源を守り、そして誰かの「困った」を救うことにつながる。
ゴミという言葉は、価値を見出すことを諦めた者の言い訳だ。
——「現代モノ価値研究所」所長 珍田